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一次創作SSを書いてみたその2

いくいです。
お待たせした方はお待たせしました。
【死刑くらぶ】のつづきです。
ちなみに前回、今回合わせまして全五話構成の予定です。
時間がある時にでもゆっくり書きたいと思いますので気長にお待ちくださいませ。

タイトル:死刑くらぶ【よん】

制作時間:書いたり書かなかったり


ではー








 死刑された。
 また一人、死刑にあった。
 それは【こころ】の死刑。
 ただそれを僕が知ったところでどうしたこともないし、厳密にいえば【ひと】じゃなく【こころ】なので警察や世間体から罰せられることもない。
 ただし死刑された人間は【しぬ】
 それが死刑くらぶの掟。


             死刑くらぶ【よん】


「お帰りなさいにゃ、ご主人様♪」
「……キミはそんなところで無意味なサービスシーンをして虚しくないかい?」
「ううん。全然。だって楽しいんだもん♪ ……て何を言わせるのよ!」

 放課後、自称才色兼備の女子高校生月島雫がネコのコスプレをしながら僕のことを迎えてきてくれた。
 しかし彼女のネコのコスプレはなんかあざとい感じがして非常に萌えない。というか萌えという言葉自体もう死後じゃないのかなと思っているのは僕だけだろうか。

「で、何か目的でも?」
「ひとえにやれって言われたのよ!」

 と僕は月島の隣にいた、沢口と同じく月島を死刑くらぶという酔狂な倶楽部の捜索を決めた蔵雨ひとえがそこにいた。
 彼女はなんていうかひとえに言うなら天真爛漫である。見た目とかそんなこと関係なく、一目見れば誰でも直ぐ判るほどの天真爛漫、それが蔵雨であった
 そんな蔵雨はにやりと柔和な笑みを浮かべていた。

「だって雫の萌え萌えな格好にきゅんきゅんしちゃうんだもの! 今口くんだって内心そう思っているんでしょ、このツンデレめ!」
「開口一番に僕のことをツンデレ属性をつけるのはやめてくれないかい? それに月島が萌え萌えな格好になったところで僕に何もメリットはないしね」
「あたし、メリットなかったんだ!!」

 月島はなぜか大声を出しながらショックを受けていた。
 僕ははぁと溜息を吐いて再度月島の格好に尋ねようとした刹那蔵雨が言った。

「ねぇ今口くんはこの前自殺した女生徒のこと覚えている?」
「……この前って飛び降り自殺をした、女子高生か?」

 僕の妹のこと。
 だけど蔵雨はそのことに気付かなかった。
 だが僕はそのことを言わない。
 月島を見るとふうんとつまらなそうな表情をしていた。

「……まぁそれも関係あるといえばあるけど今回は関係ないかな。実はその後とある男子学生も自殺をしてね。覚えているでしょ?」

 言われてみればと思い出す。
 それは一週間前だったかまたこの学校の一年の男子生徒が自殺をして話題となった。その前に僕の妹の件もあってか教師陣達が僕達に無理矢理カウンセリングをさせたり……あくまでポーズであり、実際はカウンセリングという名の脅迫だったけど。だが彼については至って平凡であった、らしい。
 実際僕は彼の生い立ちなんて興味はないし、興味なんて持ちたくもなかった。
 たけど僕の妹に次いで亡くなったことについては、少しだけだけど憤りを感じていた。それぐらい。

「もしかして彼も死刑くらぶの魔の手によって命を落としたというのかい? そんな無茶な。大体人はそう簡単に命なんて落とさないだろ?」
「そうかな。だって人間なんてどんな生物よりも凶悪で弱小だよ。言葉一つだけでも人は簡単に殺せるし、命を落とすことができるし。それを比喩するために雫にネコ耳の格好させたわけなのさ。えっへん」

 蔵雨は得意気な表情で腰に手を当てて威張っていた。
 だけど僕はそれを無視した。
 月島はなんか凄く悶えているようにみえた。

「じゃあ、あたしがこんな格好をしているのはこういうことだったの!?」
「キミは理由もなくコスプレになったのかい。それは兎も角、蔵雨、どうして死刑くらぶとそれが関係あるのさ?」
「あたし兎も角扱いだ!!」

 月島はあいからずのハイテンション。
 刹那、蔵雨に近づいてきた。

「じゃあ、今口くんも探偵になろうか」
「もしかして自殺した男子学生の謎を解き明かすというのかい? 馬鹿馬鹿しい。だいたいそんなの警察の仕事だろ? 謎を解いたところで何もメリットなんてないのに」
「メリットね……今の今口くんにはメリットはなくても、やっておいたほうがいいと思うな」

 訥々な口調。
 蔵雨の表情はどこか抜けて、その時ちょうど僕は月島の顔を見ると彼女の顔もどこか寂れているように見えた。
 まるで何かを言いたそうで言わなそうな顔。



 黒い電柱。
 白い電線。
 淡い横断歩道。
 帰り道僕に映った景色。

「ねえってば」

 刹那、僕は声の方に気がついた。
 
「どうしたんだい?」

 そこにいたのは月島。
 例によって蔵雨に省かれてなぜかまた僕と一緒に帰るはめになってしまった。
 
「なんであたし、またキモイあんたと帰るんだろう」
「僕に聞かないでくれよ。というかいい加減道を覚えて一人で帰ったらどうだい?」
「いやよ。なんで一人で帰らないといけないのよ」
 
 そう言って質問を突き返す月島。
 僕ははぁと溜息を突く。

「……ねぇ死刑くらぶってなんなんだろうね」
「……僕がそんなこと知っていると思っているのかい?」
「別に。大体さらぎくんに訊いたところで答えなんてとうに決まっているからね」
「…………いい加減僕のことを名前で呼ぶのをやめてくれないかい?」
「名前で呼ばれるの、嫌い?」

 刹那月島は僕と対峙した後、手に暖かい感触が伝わってきた。それもそもはず、月島が僕の手を握ってきた。

「こういうことされるのも、嫌い?」
「…………嫌いじゃないよ、と言えばいいのかい?」
「ふうん。キモオタなのに良い度胸しているわね、この中二病が」

 そしていつものように僕のことを罵倒した後、月島はつまんなそうな表情をして手を離した。

「もしかしてキスの一つでもしてほしかったのかい?」
「なによ。あたしとキスしたいの? やりたいのなら別に構わないけど」
「キミがそれでいいのなら、僕は構わないよ」
「ふうん。あ、一つだけ条件。いい加減あたしの名を呼んでよね!」
「名前ってキミ扱いじゃいやなのかい?」
「……どこまでキモいのよ、あんたは。キミ扱いして喜ぶ女がどこにいるのよ」
「キミは違うのかい?」
「あたしキミ扱いして喜ぶ女の子と思われていたんだ!!」
「まぁそれはともかくさ。キミは僕のことそんなことして嫌いじゃないの。散々キモオタとかキモイとか言っているのに」
「え。なんで嫌いとか、って何。だいたいそんなの別に関係ないでしょ? あ、それとももしかしてさらぎくん今更なんちゃって恋愛トレンディードラマを目指していたわけ。このあたしに? だいだいそんなの腕のない三文小説家か小説家気取りが考えそうな話よね」
「僕は別に三文小説とかの話に興味ないし、特にそういうのを目指そうとは思わないけどね」
「はっきりいうなぁー!!」

 そうして僕達は見つめ合った。
 月島の顔は僕の目の前にあった。
 
「ねぇ……本当にキスする?」
「そうだね……あ、条件が僕がキミのことを名前で呼ぶのなら僕にも一つ条件がある」
「なによ。言ってみなさいよ」
「……キミのことが好きだった。僕の恋人になってください」
「…………なによそれ、嘘でしょ?」
「さぁね」
「ふうん。というか恋人という表現嫌いだわ。もっといい表現ないの?」
「じゃあキミ人とか」
「恋ないじゃん!!」
「恋の方は残した方がいいのかい? なら恋恋は?」
「それはそれで何か有り体よね……ってなんであたしあんたの恋人っていう設定になっているのよ!? そんな設定が好きなのね。この設定厨!」
「別にそういうわけじゃないけど。でキミの答えは」
「べ、別にさらぎくんに答えを聞かれたってドギマギなんてしてないんだからね!」
「…………ふうん」
「は、外した!? だ、大体さなんであたしのこと好きになったのよ。出会ってまだ数日も経ってないのに。もしかしてあたしの容姿が目的なんでしょ。この独占厨め!」
「キミはとりあえず容姿を気にするタチだね。まぁどちらかといえばそうやってなんでも厨設定をするところとかかな」
「この変態め!」
「変態かどうかはともかく、それさえ呑んでくれたらキミとキスするし、嫌ならしないよ」
「またかわされた!? ……ふうん、そういうこと。なら良いわ。恋人とかそういう表現に属するのも悪くないしね。まぁ別にさらぎくんと一緒にいるのも嫌いじゃないしね。あたしもさらぎくんのことが好きよ……で、これでいいんでしょ?」

 僕はゆっくりと頷き月島の顔に近づいてきた。
 そして唇と唇が重なり合う瞬間。
 太陽は死に、空には黒に浸食される五秒前。
 そんな最中僕達はここでお互いの唇を重なり合う行為をしていた。
 しばらくしてどちらかともなく唇から離れた。

「…………ふうん。さらぎくんの唇ってこんな味をするのね。キモイわ」
「ならそのキモイ唇を重なり合ったキミの唇はなんなんだい?」
「え!? ……今の訂正! キモくないから! それでいいでしょ!?」
「いや、僕に尋ねられても」
「結局あたしの自爆かぁー!!」
「自演乙て言ってほしい?」
「うん☆ ばんばん言って☆ ……ってそんな慰めいらいわよー!!」

 月島はいつものように怒りながらも笑っていた。
 どこか楽しそうで。
 どこか寂しそうで。
 こうして僕達が恋人として初めてのファーストキスは終了した。
 

 それから僕達は離れて帰宅して、その日はなんてこともなく一日の残り数時間を消化し、眠りについた。
 眠りについた後、僕はある記憶が蘇ってきた。

 それは夢なのかもしれない。
 けど事実かもしれない。

 【こころ】を殺す。
 死刑くらぶ。
 なら僕の【こころ】も【殺されて】しまったんじゃないだろうか。

 閑話休題夢のなかで僕は自殺したはずの妹が現れてきた。
 現実では死んでいたとしても夢の中では未だに現れる。
 都合のいいお伽噺。
 
 だけど妹は何も言ってこない。
 だってそう。これは僕の夢なんだから。
 
 けど夢の中の妹は一言、僕に向かって言った。
 それはとても辛辣な言葉で、その言葉があるからこそ、未だに僕の中に妹が現れる要因。


 【■■■■】


 そこで夢はシャットダウンされた。


 翌朝、僕は少し早めに家を出て学校に行く道中、今回の件でさっぱり出番がなかった沢口が僕を待ちかまえているかのように待っていた。
 僕に気付いて近づいてきたのがその証拠だった。
 でも彼は何か嬉しそうな顔で僕に近づいてきた。
 そして第一声は「このバカップル」と言っていた。でもどうしてそのことを知っているのだろう。

「馬鹿だな、おめぇ。そんなのひとえから聞いたに決まっているじゃん」

 つまり蔵雨が月島から聞き出して、それが沢口に伝わったということだろうか。
 けど何も言わずに受け流すのも癪だと思い僕はありがとうと感謝の言葉を口にした。
 すると彼は少し顔を顰めながらも、そうだなと相槌していた。どうやら求めている返答とは違っていたらしい。
 そんな答え合わせ不要なのに。

「でもさ、今回の件は間違いなくお前の仕業だよね」
「今回の件というと?」
「そんなの決まっているだろ。男子学生が自殺した件だよ。お前忘れがちだから言うけど月島は一応あれでも美少女で通っているんだからな。それなりに人気あるんだぜ」

 半分賛美半分侮蔑の発言に月島が聞いたらデレるか怒るかどっちのアクションをするんだろうと思いつつ僕はそうなのかい? と答えた。
 沢口曰くその男子学生は月島のことが凄い大好きだったらしくストーキングをするぐらい好きだったらしい。
 で、この前僕と月島が一緒に帰っているところを見て居たたまれなくなって自殺したらしい。

「そんなに彼女は淑女的な存在だったのかい?」
「まぁな。月島はどちらかというと猫を被っていたところがあったし」
「そうなのかい? 僕にはよくわからないけど」
「……まぁお前には関係ない話だからな。所詮その男子学生の行き過ぎた妄信が原因なわけだし。ていうか普通にキモイな。でも、そいつを自殺させたのは間違いなくお前の仕業なんだぜ」
「ふうん。つまり僕は殺人者というわけだね」
「ああ、多分月島のことを想っているやつはお前は相当嫌われているぜ。学校の裏サイトでもそういうアンチスレがあるしよ。あ、面白いからお前も一度見てみるか?」

 沢口はかなり愉快に笑っていたので僕はそれをやんわりと断った。
 実際アンチスレとかを見たところで僕になんら弊害はない。というか裏で何を言われようとそれはそれでしかないのだから僕がどうこうするのも変な気がするし。
 でもと、僕は疑問に思ったことを言う。
 なら死刑くらぶとは一体なんなのかと。
 すると沢口は愉快な顔から一変して険しい表情。
 無言を貫いて言葉を選び、そして出た答えが「さあな」と曖昧な答えだった。

 まぁそれは兎も角僕は月島に対して思ったこと。
 だから彼女は昨日猫のコスプレをして(正確には蔵雨に強制的にだけど)あざといくらいの隠喩を僕に提示していた。
 
「まぁいいんじゃねえの。経緯はどうあれお前と月島が付き合うことになったんだしよ」

 彼はそう言ってフォローしている、ように見えた。
 蔵雨は言っていた。
 メリットはなくてもこの件は解決したほうがいい、と。
 確かに……その通りだった。
 それから沢口は先に学校に行くと言って駆け足でその場から離れて、僕の目の前から去っていった。
 本当に突拍子キャラ。
 
 僕ははぁと溜息を吐き、歩みを始める。
 判っていた。
 僕が昨日蔵雨と月島と会話をしている時になんとなく。
 だから僕は月島に告白した。
 好きとか嫌いとか関係なく。
 もちろんこんな僕のことを行為に思ってくれることは、単純に嬉しい。
 だけど、なんていうか僕は……。
 
 そんなことを思っている間にも歩は進み、校門前に到着。
 すると校門前に立って待ちかまえている女生徒の姿があった。
 月島雫。
 周りの生徒が好奇の目で見られていることに絶対に気付きながらも彼女は意地でも気付いてないフリをしていて、それがやけに可愛く思えた。
 すると僕に気付いたのか彼女は右肩を上げて手を左右に振った。僕が来たことを周囲に知らしめるかのように。
 これはなんて羞恥プレイだ、とは少し思った。
 だがふうと一呼吸置いて、その思いを直ぐに払拭するように勤めた。

 自殺した男子生徒の目論見が僕に対しての当てつけならそれもそれでいいと思う。
 けど月島は違う。
 彼女はなんていうか、僕がここで冷たくすれば死ぬとかそういうことに陥るとかはなんとなく考えは付かなかった。
 実際多分ケロっとしているんじゃないのかなと思う。
 でもそれは違うと思った。
 馴れ合いで付き合うのは単なる同情でしかないけど、冷たくすることもそれも同情にしかならない。
 だから僕は彼女を、月島雫を彼氏彼女になる選択を選んだ。
 
 
 僕は手を振った。
 途端、月島は一瞬にして猫背になりながら顔を赤らめてた。
 自分で仕掛けたのになんで赤らめるのだろうと思いつつ僕は彼女に近づいた。
 すると罵声が飛んできた。

「さらぎくん、なに朝から見せつけているのよ! キモイくせに!」
「それはキミ……いや、雫からやってきたんだろ?」

 その瞬間、月島が頭の上から湯気が出たと彷彿させるぐらい顔を真っ赤にしていた。
 このままだと健康的に大変悪い気がする。

「あ、あんた何いっ、い」
「えっと、雫が昨日言っただろう。名前で呼んでくれって」
「あ、あたしはてっきり名字の方だと思っていたのよ!! キモオタのくせに馴れ馴れしいわね! ほ、本当に! だ、だって。そ、その恥ずかしいし……」
「別に恥ずかしいことはないんじゃないのかい?」
「あたしが恥ずかしいのよ!! この自己中厨!」
「雫は相変わらず厨付けするんだね。まぁ一日二日で変わるとは思っていなかったけど」
「えへ、ごめんね。あたし今日朝起きて生まれ変わろうと頑張ったけど駄目だったんぞい☆ ……って何を言わせてるのよ! う、うるさいわね! そんなのあたしの勝手なんだからいいじゃない!!」
「いや僕は何も言ってないけど」
「自爆したー!!」

 僕達はいつものように掛け合いをしていた。
 名前で呼んだのはささやかな僕の抵抗だった。嘘だけど。
 でも月島が猫を被っていたとかいないとか関係なく、僕はただ彼女と喋りたかった。
 どうしようもなく。
 他の生徒達は僕達のことを凝視してして、少しだけど人盛りが出来ている。
 掛け合いもしたので僕は一刻も早くこの場から去りたいと思い月島の手を引っ張って校門の中へ連れて行く。
 月島は一瞬吃驚した表情を見せていたが直ぐに柔和な笑みを浮かべて僕の手を握り替えして、ぎゅっと掴んだ。
 
 僕はふと自殺した男子生徒のことを思った。
 今の状況を見て、彼はどう思うのだろうか。
 嫉妬、もしくは……やめよう。それは都合の良い解釈にしかならないから。

 結局今回も死刑くらぶについて情報を得られることがなかった。
 妹のことも、相変わらずだ。
 でも確実に変わったこともある。
 
 綴れることのなき日常の連鎖。
 言葉に疲れる毎日。
 でも、そんな期待があってもいいんじゃないかと思った。

 これが僕に取っての死刑くらぶのささやかな抵抗だから。
 

 ……だけどこれが終わりとは思っていない。
 だって、既に僕達は終わっているのだから。

 【こころ】を殺した【ひと】は既に人じゃない。
 それは妹が僕に言ったことと道理。

 全てはその一言に集約して、今だその言葉の中に僕はいる。


 【うそつき】



2009/07/22 19:00 | 一次創作SS・死刑くらぶCOMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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