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poca felicita

《poca felicita》


 古手梨花は目を覚ました。
 そこには言葉では言い要しがたい光景があった。
 なぜこんな世界にいるのだろうと古手梨花は思考を巡らせる。
 
 それまでの古手梨花はごく普通に暮らしていた。
 ××県の寒村にある北条沙都子と古手羽入と共に暮らし、雛見沢分校に行けば竜宮礼奈と園崎家頭首園崎魅音、前原圭一がいた当たり前の世界。
 だが古手梨花の見た光景はそれではなかった。
 その時声が聞こえた。
 梨花はその方向に向く。そこには黒装束に身にまとった少女の姿がいた。
 彼女はショートカットで小柄、金髪のさらさらとした髪型をしていたが梨花の知る同じ体格、髪型である北条沙都子ではなかった。
 彼女はぺら、とベンチに座って本を読んでいた。
 
「あ、あの……」
「ん……ああ、やっときたのね」

 梨花は怪訝な顔をしていた。
 だが少女はそんな梨花に上目遣いをしながら言った。

「ところで貴女は私のこと知っている?」
「……知らないわ。なんなの、貴女?」

 少女はそうと呟き、またぺらと本のページをめくる音が聞こえた。
 それはとても乾いた音で、一定の音。

「私の名前は鷹野三四。いえ、田無美代子といった方がいいかしら。あとは魔女といった方が……まあいいわ。名前なんて所詮その人を表す記号でしかないから」
「鷹野三四? 貴女が?」

 少女はにやりと笑みを浮かべた。

「そう。まあ貴女が知っている鷹野三四ではないことは確かだわ。だってここは嘘の世界から出た世界《新世界》だからね」
「《新世界》?」
「そう、貴女が望めば何でもできる世界。例えばそうね。『私の周りには森林で囲まれてすでに廃れてしまった日本経済の象徴である高層ビル群があった』、どうかしら?」

 少女がそう行った途端梨花は凝視した。
 言いようがないほどの空間が本当に少女が言ったとおりになったのだから。
 
「な……貴女。本当に何者なの?」

 梨花が訪ねる。少女は読書しながら言った。

「だから何者ではないわ。そうね。これは《嘘》なのだからね」
「《嘘》?」
「そう。例えば貴女がこれまで生きてきた世界。そこは《嘘》で塗り固められた世界なのよ」

 少女は淡々と言う。

「貴女、古手梨花は《ひぐらしのなく頃に》という《嘘》の世界にいた人間だった。言うなれば記号ね。《オヤシロさまの生まれ変わり》という。《ループを何度も繰り返す少女》として」
「……《嘘》なんかじゃないわ! これまで私の生活した世界が《嘘》だなんて!」
「そうかしら。人間そんな万能感が卓越した生き物だなんて、それ自体が傲慢ね」
 
 その言葉を聞いて梨花は苛立ち、顔を高潮させながら少女が持っていた本を取り上げた。

「何か言うときは人の目を見ながらいいなさいよ! いい加減私を元の《世界》に帰して!!」
「……元の《世界》? 元の《世界》はここよ」
「違う! 私の元の《世界》は雛見沢という《世界》!! みんながいる《世界》!! そこが私の《世界》よ!!《新世界》!? そんなありがちな記号、反吐がでるわよ!! 私を元の世界に帰しなさいよ!!」

 へぇと少女は感情のない声を上げる。それを見て梨花はさらに激怒するが少女は応えない。
 すると少女は梨花からさっき取り上げられた本に指を指した。

「その本はJ.D.サリンジャーの《ライ麦畑を捕まえて》よ」
「だから、なんなのよ。別に本のタイトルなんて私聞いてないわよ! 私が言っているのは!」
「だから貴女の《世界》もその本と同じなのよ。《本》というモノで書かれた作品と同じ溶媒から生まれた《世界》。そしてその溶媒はあらゆる世界で浸食し、あらゆる《世界》が紡がれる。でも貴女の《世界》はその《本》と同じようにすでに完結しているの。それ以外のものは全て《嘘》なのだら」

 一瞬にして梨花はさっきまで激怒していた感情が引いていた。
 代わりに梨花は少女のことを困惑した双眸で見つめる。

「《嘘》って何よ。なにが《嘘》なのよ! 私が生きた《世界》は確かに《本物》よ! 《本物》!!」
「そうかしら。なら《本物》は私とこんな邂逅なんてする? 《本物》なら私とこんな会話なんてする?」
「…………貴女、おかしいわよ」

 少女はそうかもね、と呟く。
 風が吹き梨花と少女の髪が凪ぐ。
 
「《嘘》なのよ。この《新世界》も梨花、貴女がいた《世界》もね」
「…………《嘘》。 なら、私は、なんのために貴女に呼ばれたのよ」

 少女は立ち上がり高層ビル群に生えた草木を触る。
 
「貴女を《平和》に返す」
「《平和》? 私は十分《平和》よ!? 私の世界は十分に《平和》! だから!」
「……ふうん。《オヤシロさまの祟り》とか《雛見沢大災害》とか《雛見沢症候群》とかある世界が《平和》なの?」

 いつの間にか梨花の額から冷や汗が出てきた。

「《平和》は何もおきないこと。《平和》とは《ひぐらしのなく頃に》のことじゃないわ。《平和》とは《平和》よ」
「違う! それは違う! 私がこれまで生きた《世界》は確かに《平和》はなかった! でもそこが私の《本物》で《世界》だった!!」
「そう。貴女がそれを願うのなら私はとやかく言わないけど……けどね」
 
 少女は梨花に近づいて言った。

「貴女が言うその《世界》はまやかしよ。《幻想》でしかない」
「幻想…………違う!! 違う、違う、違う!! 《幻想》なんかじゃない!! 《幻想》なんかじゃない!! 《幻想》なんかじゃ!!」
「なら、貴女はいつまでもその《世界》にしがみつくのね」

 途端、梨花は少女の頬を手のひらで叩いた。乾いた音と共に徐々に少女の頬は赤く染まっていく。

「……私は、どうしたらいいの」

 梨花が呟く。

「それは貴女自身が決めるの。私がとやかく言うことではないわ」

 少女は常に淡泊な口調。
 梨花はしばらく呆然していたが「ねえ」と少女に尋ねた。

「私は……その《平和》は、みんながいるの?」
「……さあ。だって《平和》は《ひぐらしのなく頃に》じゃないから」

 そうと梨花は言う。

「なんだか……私、試されているのかな。なんでこんなことになるんだろう」
「知らないわ。そんなこと」

 梨花は少女の不躾なその口調に少し笑った。
 少女はそれが気に入らなかったらしく眉間に皺を寄せた。

「……何がおかしいの」
「別に。ただ貴女が鷹野三四ていうのは満更ではないってことよ。そうね、いってやろうじゃないの。貴女がいう《平和》という世界に」
「…………そう」

 少女はそれだけ呟くとさっきまで座っていたベンチに戻った。
 梨花もその後をついていき少女の隣に座った。

「その本はね」

 少女は言った。

「その本は世界中の誰もが知っている《本》。でもその作者は隠居生活を送っているそうよ。ふふ、なんだか今の貴女と同じではなくて」
「さあね。少なくとも私は貴女の方が不思議よ」
「ふふ。まだそんなことを気にしているの。私もその《本》と同じよ」

 そうして梨花は少女の顔を見た。
 そこには満面の笑みを浮かべた少女の姿があった。
 それを見て梨花も笑みを浮かべる。
 二人は穏やかな時間を送り、そして梨花は。





 梨花は目を覚ました。
 身体を起こすと茜色の夕日が写った。
 梨花は立ち上がり周りを見渡すとそこは教室の自分の机だった。
 その時、梨花のことを呼ぶ声が聞こえた。正確にはその声は梨花という名前を呼ばなかった。
 だが梨花はその名前で振り返った。
 そこには前原圭一がいた。
 だが梨花は知っていた。
 目の前にいた人物が前原圭一ではないことを。
 梨花は「ごめん」と言うと前原圭一だった男は「可愛い奴」と言った。
 
 それから二人は学校を後にする。
 梨花は男の後を追う。男は梨花のことを茶化すように会話をする。
 梨花はふと思う。
 あの《新世界》はなんだったのだろうかと。
 あの《世界》はなんだったのだろうかと。
 ふと梨花は鞄の中をあけて取り出すとそこにはD.J.サリンジャーの『ライ麦畑を捕まえて』と竜騎士07の『ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編 上巻』が入っていた。
 男はどうしたと梨花に訪ねる。
 梨花はなんでもないと言うと笑みを浮かべながら男の右腕を自分の左腕に絡める。
 男は少し顔を赤らめていた。
 それを見て梨花はさらに笑う。

 その時、梨花はふと振り向いた。
 彼女の耳にふと聞き慣れた鳴き声が聞こえてきたから。
 ひぐらしの鳴く音。
 男はどうしたと梨花に聞く。
 梨花は首を左右に振りなんでもないと応えた。
 
 そうして梨花は男と二人闊歩する。
 そのひぐらしの鳴き声に感謝を心の中で呟きながら。



 『さようなら、《ひぐらしのなく頃に》』


 
 そうして梨花は、否梨花とかつて名乗っていた女は男と共に姿を消した。
 それは小さな幸せ。


                                                END



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2008/03/22 18:22 | 3600COMMENT(69)TRACKBACK(0)  

いくいさんと最後のひぐらしSS

こんにちはいくいです。
今日は報告です。

沙都子の日にSSを雛物に書いたのですがあまりに救いのないSSで、昨日kouta様の助言もありましたので削除いたしました。
ファイルアップローダーに一時的に載せています。
これは相互絵よりも早く、今週の日曜をめどにアップローダー内から削除しようと思います。

ひぐらしSSですが今週やる3600を最後にひぐらしSSで雛物投稿をやめることにします。
雛物では多分これを最後、引退です。
長編圭魅SSはただ投稿するだけです。
魅ぃは時間があれば書いていきますのでご安心ください(ぇ)
イラストも暇があれば書いていきたいと思っていますのでw

ただSSだけはもう行き着くところまで行き着いたといいますか、そんな感じなのでイベント日記念SSは書かないことにします。合作やリレーSSはもちろん参加できません。もともとできませんでしたけど。
茜祭は正直参加したかったんですけどね(汗)
ただもう決めたことなので次の3600でイベント系、及び短編系のひぐらしSSの雛物投稿はおしまいにしたいと思います。
まあ3600も書いてみて投稿するかどうか決める、ですので(汗)
どっちにしてもブログには公開します。

それに今後ともひぐらしキャラは使いますけどw 
うみねこSSとか、イベントレポとかでw

そういう点では心配しないでくださいね。
でももしかしたら、ふとひぐらしSSを書くかもしれませんが(ぇ
その時は完全にブログ、アップローダーに載せるだけにしたいと思います。

ではでは報告だけですが失礼しましたー。

2008/03/19 18:33 | 未分類COMMENT(1)TRACKBACK(0)  

いくいさんとファイルアップローダー

こんにちはいくいです。
ファイルアップローダーを設置しました。
現在書いているARIASSやオリジはこちらで投稿したいと思います。
ただイベントレポや他のSSをどちらに投稿するかはちょっと考え中ですが。
ちなみにテストとしてイラストを置いておきます。
もしよければご覧ください。
では失礼します。


2008/03/18 18:38 | 未分類COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

いくいさんと沙都子


こんにちはいくいです。 
今日は沙都子の日ということで急いで描き上げました。

沙都子,


雑なところも多々ありますけどそこらへんは見逃してください^^;
それから相互絵の方の公開も始まりました。
公開期間は来月の4月15日までですので是非ともご覧くださいです。
↓のリンク先から飛べます。

近況といいますか(汗) サンクリレポの方、もうそろそろしなきゃなんて思っています(汗)
起動さんに早くやれと言われましたしねww 
ただARIASSの方もありますので…4月公開かも(ちょ!
その間は起動さんのイベントレポの方でお楽しみくださいw

では返信したいと思います!
6千ヒット超えました! みなさんありがとうございます!!
記念絵も書きたいのですが(汗) 
相互絵企画の方で今のところ我慢してください(汗)

相互絵


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2008/03/15 16:02 | 未分類COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

いくいさんと挿絵

40


こんにちはいくいですー!
最近更新が遅れてすみません>< 圭魅スレ合作の挿絵の方をずっと描いていました。あとチャット会にもちょくちょく参加してましので(ふぉんぐしゃ
↑が本家に投稿したイラストですーw 画質が悪いのは仕様ですw わざと8bitにしました(ぇ
これには訳がありましてニコニコでリトルバスーズのMADで集合絵をわざと8bitに落としていてそれが凄い雰囲気が出ていてよかったのでそれに習ってそうしましたw
ちなみにバックにかかっていた曲はYMCKの「Magical 8bit Tour」という曲で実はこの絵、ひぐらし解イメージアルバム「こころむすび」の全員集合曲「こころむすび」よりもYMCKの曲の方が合っていたりしてます(爆)
また挿絵ですけど色々イメージできるような絵にしたいと思っていましたのでキャラクターの表情とかを色々変えたりしましたw 
例としまして 
○圭一と魅ぃが隣で手を握っていて、それをみて詩ぃ、沙都子が茶化して梨花ちゃん嫉妬、羽入があぅあぅ
○圭一とレナが手を握ってそれを魅ぃが嫉妬、それを見て詩ぃと沙都子が茶化し梨花ちゃんキムチ、そしてやっぱり羽入があぅあぅ(ぇ
とかいろいろシチュエーションが想像できるのではと思っていますw
それとバックの雲は本編中に描写してありましたが飛行機雲は完全に私の趣味です(ぇ

↓に高画質バージョンとして掲載しますので見比べるのも一興かと思いますw

40


それと告知です。

3月14日から一ヶ月の間限定で3月5日の巫女の日、ARIA完結記念としまして相互絵を公開、また無料配布したいと思います。
初めてのことですがもうすぐ6千ヒットになる記念です。感謝の意味も込めてやりたいと思いますのでもしよければ貰っていただければ嬉しいです^^
ちなみに他の無料貼付、掲載等はしないようお願いします。

またARIA完結記念としましてSSを描きます。
タイトルは『AQUA-THE ShortStory -myself yourself(仮)』としまして本編終了の後日談といいますかARIAとはまた違ったSSを描ければと思っています。
進展があり次第連絡します。

そして07th掲示板でもお世話になっていますまあくんのコメントより宣伝です。

うみねこ掲示板ホワイトデー企画
http://rena07.com/Cgi/umi_cbbs/umicbbs.cgi?mode=red2&namber=4900&no=0
祝!公式決定!ひぐらし掲示板千年に一度のオヤシロ(0846)の日08年4月6日(羽入、オヤシロ様記念日)
http://rena07.com/Cgi/oebi3/bbsnote.cgi?fc=thread&log=022605

07th掲示板でイベントが開催されますのでもしよければご参加お待ちしています。
もしよければ↑の企画の方を(まあくんの企画だけです)バトン形式でコピペしていただければ幸いです。
私はうみねこ掲示板のあるスレでひっそりとしています(ぇ
オヤシロの日は…どうしましょうね(滝汗)

ではでは返信の方いきたいと思います!
ありがとうございました!!

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2008/03/10 20:37 | 未分類COMMENT(3)TRACKBACK(0)  

いくいさんとみーみーの日

img048.jpg


かしらかしらごぞんじかしら~。

すみません、言ってみただけのいくいです(ぇ

ということで今日は梨花ちゃんの日、あらためみーみーの日ですね。
ということでイラストを貼ります。
ちなみにこの絵は「少女革命ウテナ」の主人公天上ウテナのコスプレをした梨花ちゃんです。色は影なしで効果で照明機能を使い、ノイズを入れただけです(汗)
ちなみに構図はひぐらし掲示板で活躍されていますたんた様のイラストでレナの絵の構図が気に入りましたので模写しましたけど…上手くいきません><
たんた様のイラストは絵版の検索機能をつかえば出てきますのでもしよければお探しください(汗)
私自身絵版での投稿はできませんので(汗)


そして第二弾ですー


りかーー


これは昨日適当に二時間ぐらいで書いたものです(ふぉんぐしゃ!
線がよれよれでどうも上手くいきません>< そもそもペンタブを使っているのですが全然思い通りに書けないのです(汗) スキャンもアナログで書いた線を摘出する、なんて機能はついていませんし(汗)

一応この絵を祭事用に投稿しようと思ったのですけど、まぁいろいろあってこっちのみです(汗) 去年のみーみーの日は普通に死にかかっていましたね(ちょ

ちなみに明日は三四の日です。
以前描いた絵と今日某所の絵チャに参加したいと思っていますので許可が下りればイラストの方も貼りたいですね。

では久々の返信です! 
いつもありがとうございます!




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2008/03/03 19:28 | 未分類COMMENT(6)TRACKBACK(0)  

いくいさんと魅ぃの日

keimi-.jpg


こんにちはikuiです。↑の作品は本家に投稿したイラストです。
結局挿絵の方は間に合わず以前描いた圭魅を加工してお送りいたしました。

さてこちらに投稿したSSの裏話なんかもこちらでは話したいと思います。
それとアナウンスです。
梨花鷹祭にSSを寄稿いたしました。
「moon」という作品で、R指定ですw
したのリンク先からもしよければご覧くださいw
gigi様素敵な企画ありがとうございましたーw

では裏話なんかをー。
返信等は次回にまとめていたします>< 
いつもありがとうございます!

梨花鷹祭


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2008/03/01 16:45 | 未分類COMMENT(1)TRACKBACK(0)  

雨のち晴れ

このSSは行為を行っているためR指定としておきます。
熱狂的な圭魅、圭レナファンの方はご覧を控えることをお勧めいたします。
以上のことを踏まえた上で自己責任でご覧くださいませ。


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2008/03/01 16:12 | SSCOMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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